名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1127号 判決 1949年12月22日
被告人
道家博
主文
本件控訴を棄却する。
当審における訴訟費用は、被告人の負担とする。
理由
弁護人近藤亮太の控訴趣意は別紙の通りである。
よつて案ずるに、原審公判手続において、檢察官は、被告人の自白である供述調書を他の証拠と同時に取調を請求していることは所論の通りで、これは刑事訴訟法第三百一條に違反するけれども、原審は、証拠の取調を爲すにつき、
(一)緊急逮捕手続書 (二)被害者の盜難届 (三)始末書 (四)領置書を取り調べた後、被告人の供述調書を取り調べて居り、かつ被告人は、原審公判廷において、犯罪事実を認め、原判決も右被告人の公判廷における供述と被害者の盜難届とにより犯罪事実を認定しているので、右証拠の取調請求方法についての違反は、判決に影響がないものと認められるから、論旨は採用することができない。